丹波篠山とくさんシリーズ 山の芋のおはなし

丹波篠山とくさんシリーズは1990年頃当時の篠山町農協が丹波ささやまの特産物をおはなし風につくったものです。さし絵はひのもとはじめさん。

山の芋はいつ頃から

山の芋が丹波篠山で作られだしたのは、いつごろじえ

江戸時代の初めに、篠山地方に作られていたと書いた古文書が残っとるんや。
その当時の篠山藩の殿さんは年貢の取りたてもひじょうにきびしかったそうや。それで百姓は自分で作った米は全部年貢として納めんなんし、たまたまその年は大凶作で米も不足やし、みんなこまってしもうてのう、ちょうど山の芋を作っとったから、これを米のかわりに、食べてうえをしのいだそうなんや

おいちゃん、ぼくらの先祖の人々は、苦しみながら山の芋を育て、作ってきたんやなあ

そのとおりや

それ以来、丹波篠山の芋は、みんながたくさん栽培しだしたし、この時代から、山の芋の種子は
『あおやま(青山)』『たかしろ(高城)』『みたけ(三岳)』
この三つの品種があったんや。今ではこれらの種子を改良して、優良品種としてのこしてるんや

山の芋は親孝行芋

おいちゃん、正月には山の芋を食べるけど、なんでやろう

それはなあ、山の芋は『親孝行いも』といってなあ、ほかの芋は種芋の上に新しい芋が出来るけど山の芋だけは、種芋の下に芋が出来るんや。小芋が種芋(親芋)の下にはいるということで、親をかつぐ芋、親孝行芋と言われているんや。それで正月から、親孝行はせないかんと言うことで祝って、山の芋をたべるんやで・・・・・・

そうしたら、おいちゃんぼくも食べなあかんなあ

そうやで、わかったなあ

それやからなあ、結婚式や、家を建てた時や、めでたい時には必ず祝って食べる習慣もあるんや

山の芋はなぜ美味しいの

おいちゃん、篠山の芋がなんでおいしんじえ

篠山地方はなあ、山間部やけど盆地やさかい夏は気温が上昇して、適当に雨が降るし、また、反対に秋にはぐんと気温が下がり、霧が深くなるやろう。山の芋の生育には篠山のこういう気候が一番よい条件になるんや。天下一品の丹波篠山山の芋と名をとどろかせているのはそんなところかのう

それから、ここの山の芋の成分はでんぷんが25%以上(ミニーシン)消化酵素が10%以上(ジアスターゼ)と多量に含まれて、栄養も抜群なんや

おいちゃん、ぼくんとこのおじいちゃん、おばあちゃんも山の芋を食べたって長生きをしとってんやなあ

そうやで・・・・・・

山の芋は消化酵素のよいすぐれた栄養食品やさかいなあ

山の芋はどんな料理に使われるの

篠山の山の芋はなあ、切り口(肉質)ち密で純白で、ねばりがどこの芋より強く、品質はとてもすぐれているので、いろいろな料理、加工につかわれているんや

おいちゃん、ぼくのすきなまんじゅうも、原料に使われているんけ

そうや・・・・・・、

あの強いねばりによって一番おいしい和菓子ができるんや。それからなあ
とろろ汁 吸物 酢のもの カルカン 山かけ お好み焼き 揚げもの など料理方法はまだまだあるんや

やっぱしおいちゃん、こんあよい山の芋はたくさん作らなあかんなあ

ぼくもおいちゃんに負けんように勉強して、もっとよい篠山の山の芋を作るようにするわ

そうやで。もっともっと日本中のみなさんによろこんでぎょうさん食べてもらうようにしようかいやい

山の芋の長い長い旅

おいちゃん、ぼくんとこの山の芋はいつごろから作っとってんや

それはのう、日本で栽培されてきたのは縄文後期といわれてのう、となりの国の中国では、神農皇帝(紀元前二千年)の時に薬用として使われたという記録があるんや

おいちゃん、山の芋はそない昔から作られとったんけ

そうや。もともと山の芋の原産地は中国の雲南ちほうでなあ、北中国、それから朝鮮半島に渡り日本に来たものらしいんや。
それに、芋にはいろいろな種類があってのう、
篠山の山の芋は『つくねいも』、
伊勢地方にあるのが『いちょういも』、
信州地方にあるのは『ながいも』
とそれぞれ三種類があるんや

おいちゃん、山の芋も長い長い旅をして、ぼくんとこへ来たんやなあ


そういうこっちゃなあ

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